モバイルバッテリーの入力と出力の違い|20W・30Wは何を意味する?

モバイルバッテリーの商品ページには、「入力20W」「最大出力30W」「合計出力24W」など、複数のW数が記載されています。

同じW(ワット)でも、入力はモバイルバッテリー本体を充電するときの電力、出力はスマートフォンなどを充電するときの電力です。この違いを理解しないまま選ぶと、「本体の充電が遅い」「30W対応なのにスマートフォンを2台つなぐと遅くなった」と感じることがあります。

この記事では、モバイルバッテリーの入力・出力・合計出力の違いと、20W・30Wなどの表示を確認するときのポイントを解説します。

入力と出力の違い

項目 意味 影響するもの
入力 モバイルバッテリー本体へ電力を入れる 本体の充電時間
出力 モバイルバッテリーから接続機器へ電力を送る スマートフォンなどの充電速度
合計出力 複数のポートから同時に供給できる合計電力 複数台接続時の充電速度

Ankerの公式案内でも、モバイルバッテリー本体を充電するポートを入力ポート、スマートフォンなどへ給電するポートを出力ポート、両方に対応するものを入出力ポートと説明しています。

入力Wとは

入力Wは、モバイルバッテリー本体が充電器から受け取れる最大電力です。入力Wが大きい製品ほど、適切な充電器とケーブルを使用した場合に、本体を短時間で充電しやすくなります。

  • 入力10W:本体の充電に時間がかかりやすい
  • 入力20W:10000mAhクラスで一般的な急速充電の目安
  • 入力30W以上:大容量製品や高出力製品で採用されることがある

ただし、入力30W対応のモバイルバッテリーでも、5Wや10Wの充電器につないだ場合は30Wで充電されません。モバイルバッテリー、AC充電器、ケーブルのすべてが必要な規格と電力に対応している必要があります。

出力Wとは

出力Wは、モバイルバッテリーからスマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどへ供給できる最大電力です。

  • 出力12W前後:一般的なUSB-A充電
  • 出力20W前後:iPhoneなどの急速充電に利用しやすい
  • 出力30W前後:スマートフォン、タブレット、一部の小型ノートパソコンに対応しやすい
  • 出力45W以上:対応するノートパソコンやゲーム機も選択肢になる

最大出力30Wと書かれていても、接続機器が30Wを受け取るとは限りません。USB Power Delivery対応機器では、充電器側と接続機器側が通信し、対応範囲内で必要な電力を決定します。

USB-IFも、USB Power Deliveryでは低電力の機器が必要な電力だけを受け取れる仕組みを案内しています。高出力のモバイルバッテリーを接続しただけで、常に最大電力が強制的に流れるわけではありません。

入力20W・出力30Wという製品もある

入力と出力は別の性能なので、入力20W・出力30Wのように異なるW数を持つ製品もあります。

この場合、スマートフォンなどへは最大30Wで出力できても、モバイルバッテリー本体を充電するときは最大20Wです。そのため、「30W対応」とだけ見て、本体も30Wで充電できると思わないようにしましょう。

反対に、入力30W・出力20Wという設計も考えられます。商品ページでは最大W数だけでなく、入力欄と出力欄を分けて確認する必要があります。

W数の計算方法

電力Wは、電圧Vと電流Aを掛けて計算できます。

W = V × A

電圧と電流 電力
5V × 2A 10W
5V × 3A 15W
9V × 2.22A 約20W
9V × 3A 27W
15V × 2A 30W
20V × 1.5A 30W

同じ30Wでも、製品やUSB PDのプロファイルによって電圧と電流の組み合わせが異なります。接続機器が対応していない組み合わせでは、最大出力にならない場合があります。

単ポート最大出力と合計出力の違い

複数ポートを搭載した製品では、「USB-C単独最大30W」「2ポート同時使用時は合計24W」のように、接続台数によって出力が変わることがあります。

エレコムのEC-C43Lシリーズでは、USB-Cポートまたは内蔵USB-Cケーブルを単独で使用した場合は最大30W、2ポート以上を同時に使用した場合は合計最大24Wと案内されています。

これは2台へ24Wずつ、合計48Wを供給できるという意味ではありません。合計24Wを接続した機器へ分配します。分配方法は製品によって異なるため、商品ページや取扱説明書の出力表を確認してください。

複数台接続すると充電が遅くなる理由

複数の機器を接続すると、モバイルバッテリーの合計出力が各ポートへ分配されます。また、製品によっては複数ポート使用時にUSB PDなどの急速充電が解除され、5V出力へ切り替わる場合があります。

例えば、単独接続では30W対応でも、2台接続時に合計15Wへ切り替わる製品では、1台あたりの充電速度が大きく低下する可能性があります。

  • 1台だけ接続したときの最大出力
  • 2台接続したときのポート別出力
  • 3台接続したときの合計出力
  • 同時使用時もUSB PDやPPSが有効か

複数台を充電したい場合は、ポート数だけでなく出力配分表を確認しましょう。

入力30Wなら本体充電も必ず速い?

入力30W対応でも、充電開始から終了まで常に30Wで充電されるわけではありません。バッテリー残量、温度、安全制御などにより、充電電力は変化します。

特に満充電に近づくと、バッテリーを保護するために電力が低下する製品があります。商品ページに書かれた充電時間は、指定された充電器とケーブルを使用した場合の目安として確認してください。

パススルー充電時は仕様が変わることがある

モバイルバッテリー本体を充電しながらスマートフォンへ給電するパススルー充電では、入力された電力が本体と接続機器へ分配されます。

パススルー時は最大出力が下がる、急速充電が無効になる、本体の充電が遅くなるといった場合があります。対応製品であっても、通常時と同じ入出力になるとは限りません。

詳しくは、モバイルバッテリーを充電しっぱなしにしても大丈夫?も参考にしてください。

容量のmAhと出力のWは別物

10000mAhはモバイルバッテリーが蓄えられる容量、30Wは電力を出し入れする速度の指標です。

  • mAh・Wh:どれだけ蓄えられるか
  • W:どのくらいの電力で充電できるか

容量が大きくても出力が低い製品はあります。反対に、容量が小さくても高出力に対応した製品もあります。容量については、10000mAhのモバイルバッテリーでiPhoneを何回充電できる?も確認してください。

商品ページで確認する順番

  1. モバイルバッテリーの容量を確認する
  2. 本体を充電するときの最大入力を確認する
  3. 各ポートの最大出力を確認する
  4. 複数ポート使用時の合計出力を確認する
  5. USB PD・PPSなどの対応規格を確認する
  6. 必要な充電器とケーブルを確認する

本体へ充電できない、極端に時間がかかる場合は、モバイルバッテリーが充電できない原因も参考にしてください。

まとめ

モバイルバッテリーの入力Wは本体を充電する速度、出力Wはスマートフォンなどを充電する速度に関係します。入力20W・出力30Wのように、それぞれ異なるW数が設定されている製品もあります。

また、最大30Wと表示されていても、複数ポート使用時は合計出力が下がる場合があります。購入前は最大値だけでなく、入力、単ポート出力、複数ポート時の合計出力を分けて確認しましょう。

参考情報